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大根の保存方法

大根の保存方法

家庭菜園で大量にできた大根をどう保存しておくかと、収穫時期を如何に遅らせるかの方法を解説します。

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大根の保存方法と残渣処理方法

大根の保存方法

家庭菜園を始めた方は誰もが経験するのですが、畑で育てた野菜が沢山でき過ぎて、多くを収獲しても冷蔵庫、冷凍庫にも入りきれず、また、親類や近所にあげてもまだまだ残ってしまって、その内に腐らしてゴミ箱へという苦い経験を持っている方も多いと思います。

ここでは、畑野菜を如何に長く保存するにはどうすべきかという点をお話したいと思います。

他方、短期間に保存できる方法について調理法を説明した各サイトで紹介されていますので、ここでは簡単に説明するに留めます。更に、家庭菜園をしているときに、やっかいなのは、野菜の残渣処理問題がありますので、その残渣処理方法、即ち腐り掛けた野菜の有効利用についても、合わせて筆者の経験と、農家の方々や畑仲間の交流から得た情報をもとに説明します。

日本人は大根が大好きで、大根下ろし、おでん、煮物、サラダ、薬味、漬物など幅広く利用されていますので、今回、畑における大根の保存について説明をします。尚、ここでの保存方法は調理したりする方法ではなく畑でどのようにすれば美味しい大根を長く保存(或いは、収獲を遅らせる事)ができるかという点を紹介します。

長期保存

プロの農家の主な栽培法には、10月収獲の秋取り、11~2月収獲の冬どり、3〜4月収獲の春どり、5〜6月収獲の初夏どりの4作型に区分されている。

家庭菜園では、秋どり、冬どり、春どりの三つの栽培を行っていますが、一般的には秋・冬どりが主流で、特に秋どりはもっとも作りやすい作型でどんな品種でも栽培できます。

中間地域での播種(種まき)事例では、秋どりは8月中旬〜9月初旬に播種し10~11月に収獲します。冬どりは9月初旬〜9月下旬に播種し翌年1月〜2月に収獲します。
但し、春どりは低温でも発芽しにくい晩抽性(薹だちが遅い)の品種を植えないといけません。

10月と11月は大根もまだゆるやかに成長を続けていて、12月頃になると、太く立派なものができています。そして、1月からは成長しない状態がつづき畑保存には良い状況です。しかしながら、2月になると大根は子孫を残す為に花を咲かせて、種をつくる為に急に成長を始めます。これを「薹立ち(とうだち)・抽苔(ちゅうだい)といいます。

そもそも大根は低温にあうと「薹立ち・抽苔(花を咲かせる茎の事、花茎が伸びる事)」する性質があり、種をつくる為の生殖成長を始めるからです。「薹だち」のスイッチは、温度の高低や日長の長短が影響して入ります。これは「春化現象(バーナリゼーション)」と言います。

発芽種子を5℃前後の低温下に約15日間置くことで花成(花芽分化)が促進され、分化後に2月3月頃の高温・長日条件で「薹だち」が促進されます。そして、その「薹だち」になると、大根の根の内部がスポンジ状で、スカスカになり、水分もぬけて食味の悪い大根になってきます。これを、俗に「ス(鬆)が入った」とも言います。「ス(鬆)」は大根の細胞と細胞の間の気泡が原因で大根にすき間や穴が空いてスポンジ状になってしまうことです。

ところで、大根の生育適温は17~20℃(最低10℃最高25℃)なので、大根は寒さにも、暑さにも弱い野菜といえます。

一方、秋以降の霜(気温が4℃以下の時に発生する。この4℃は天気予報の数値で実際の地表では0℃になります)に当たった大根も「ス(鬆)」が入る場合がありますので、注意してください。

「ス(鬆)」が入りやすい原因は、栽培中に気温が高かったり、肥料切れ、窒素不足、霜、薹だち等があります。それで、これらの「薹立ち・抽苔」や「ス(鬆)」を遅らせる工夫をする事で、結果的には収獲を遅らせる事になり、この意味は畑で長く保存ができる事なのです。

さて、ここでは秋・冬どり大根の一般的な越冬保存法についてお話をします。

方法(1)は、抜かずに「土寄せ」する方法と、
方法(2)は、抜かずに葉の「付け根を切断」する方法と、
方法(3)は、抜いて、地中に完全に「埋める」方法です。

これらの方法はその地域の気候(気温)に応じて使い分けをします。

方法(1)「土寄せ」

この土寄せする方法は、気候として暖地・中間地に向いています。

特に簡単な方法で12月末までに大根の葉の根元より少し上まで土寄せする方法と、大根の葉が埋まるほど土寄せする方法とあります。真冬の寒さが強い地域は後者の方法をします。

筆者は関西地方なので前者の方法を採用しています。この方法は抜かずに畑で保存でき、比較的手間いらずの作業ですみます。

土寄せする時に、葉が埋めるほど土寄せするには通常土が不足する場合が多くあります。このような時の工夫として、大根はもともと二条植え(二列)をしますので、まず収獲する際には一方の列から大根を収穫します。
するとその列の土は余りますので、その土を残る列の大根に利用する事で土の不足を補う事ができます。

土寄せは12月末までに行えば、霜よけや冷害の被害を少なくできます。筆者は関西地方で1月末まで土寄せをしていますが、地方によって寒さは異なりますので、12月にされた方がよいかと思います。

方法(2)「付け根で切る」

この付け根で切断する方法は、2月頃になれば、大根を抜かずに、大根の葉の根元からすっぱと水平に大胆に切り落として畑に放置する事で、3月半ばまで畑保存する事ができ、みずみずしい大根を食する事ができます。

もし3月中旬頃に切った断面から新芽がで始めれば、その下ですぱっと切断し、暫く畑に放置する事もできますが、3月半ばになると日中気温も高いので、切った後、地面から抜き取って、持ち帰り、新聞紙やサランラップで包み込んで自然保存するか、又は、冷蔵庫に保管することでさらに長く保存することができます。

方法(3)地中に埋める

大根を土に埋める方法です。12月に大根を全て抜き取って、1カ所に集めます。

葉だけ外に出して根を土に埋めますが、重ねる時は大根間に土が十分入り隙間のないようにするのがコツです。特に寒冷地では、30cm以上の深さの穴を掘り、葉も少し残す程度切り落とし完全に埋めます。さらに春先まで保存したい場合には逆さまに、即ち葉側を下にすればよいでしょう。

その他の方法

離(脱)春化作用(ディバーナリゼーション)

かなり専門的な話ですが、「離(脱)春化作用(ディバーナリゼーション)」という手法があります。

即ち、「夜間の低温感応を日中の高温で打ち消す作用で、20℃以上の高温が必要です。高温が4~6時間以上確保できれば完全に離春化されます。(タキイ種苗から引用)」

もう少し平たく言えば、低温刺激を受けても,その直後に一定以上の高温にあうと低温の影響が消去される現象をディバーナリゼーションといいます。

この方法をどのように利用するのかと言えば、プロの農家ではこの方法を採用して「スの入る」のを遅らせる、即ち花芽分化(薹だち)を遅らせるようにしています。ハウス栽培やトンネル栽培などで被覆して高温を保つことで,花芽分化を抑制し,栽培期間を延長し収獲時期を遅らせています。この手法もある種の保存延長になります。

大根のみならず、この方法は、ニンジン,ハクサイなどをトンネル栽培にして昼間の温度を高くし,花芽分化を抑制して薹だちを遅らせています。その関連方法で、播種の時点で、地温上げる目的で、不織布で畝全体を覆い発芽後すこし大きくなってから不織布を撤去し、その後トンネル栽培をするという方法で発芽分化を遅らせて、薹立ちを遅らせます。

新聞紙やラップにつつんで冷暗所・冷蔵庫に保存

収穫後の保存の不手際からス(鬆)が入ってしまう場合ですが、葉付きの大根を買ったりもらったりして、そのままの状態で保存していると、葉柄からどんどん水分が抜けてス(鬆)が入りやすくなりますので、葉柄は直ちに切り落としましょう。

その後、新聞紙か、ラップに包んで冷蔵庫の野菜室へ立てて保存しましょう。1週間から2週間ほど保存が可能です。

冬場は冷暗所に、夏場は冷蔵庫の野菜室で立てて保存 します。新聞紙には軽く霧吹きをして水を含ませるとよいでしょう。1週間から2週間ほど保存が可能です。

品質低下と水分蒸発防止

収穫後はできるだけ早く冷水に漬けて調整を行い、予冷庫に搬入させる。調整時の浸漬水温と浸漬時間は、水温:12~15°C、浸漬時間:3~6時間で3日後でも当日収穫と変わらない品質となるようである。(ある産地事例より)

短期保存

短期保存の方法としては
1.冷蔵庫いれる
2.冷凍庫いれる
3.天日干しする
4.調理する。漬物にする。
5.新聞紙、ラップで包む
等の手法がいろんな方面で紹介されていますのでここでは割愛します。

廃棄処分の有効利用の方法

大根を家庭菜園でする場合、種の量が一袋にそれなりの量が入っていますので、ついつい畝にゆとりがあれば、沢山種を播種する場合があります。

しかも大根の種は発芽しやすいので、その分、多く収獲できます。それで結果的に大量の大根の残渣が残って処分に困ってしまいます。プロ農家でも、大根は大規模な土地利用型野菜である事から、収穫後の残さ処理が難しいものとなっているようです。また、残さが土壌伝染性病害の巣窟となっている可能性があるようです。

しかしながら、家庭菜園で植えつける量はプロ農家とは全然異なり、ある程度限界があって、筆者の経験では、丸大根と長大根合わせても毎年30〜50本を処分する程度ですが、やはり処分には一苦労します。

しかし、筆者は一畝にU型の深い溝(30cm)を6m掘って、その中に大根やその他の野菜類を埋めますが、その時に早く腐るように、穴に入れた山ほどの大根その他の野菜類をスコップの先で細切れにして長靴で踏みつぶして土で覆います。

もし可能ならば、そこに米糠と、EM菌、枯草菌(納豆菌)や酵母菌類の物があればそれを一緒に入れて土で覆いますと、そこの畝は、将来良い土壌になり次回野菜を植えた場合に良く育ちます。

但し、野菜の残渣を土穴に入れる際には明らかに病気野菜と思われる物は入れないでゴミ処理扱いしてください。

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