harumaruさん
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ロニー田中氏が亡くなった櫻井敦司さんに関する文章をリマインダーに掲載
私は一瞬目を閉じた。この声の主を知っている。心臓の鼓動が高鳴り、息が苦しくなる。2匹の猫は不思議と警戒せずに私の背後の男性を見上げている。思い切って振り返ると、やはりその声の主はさっき丸玉商店にいた櫻井敦司だった。
2匹の猫同様、私が見上げた彼は、後光がさしているかのように美しかった。同じ人間と思えない美しさの圧に思わず猫たちも見惚れた様子。私は彼を直視できずに猫を撫でながら「猫好きですか?」と、かなり間抜けな問いかけをした記憶がある。
「大好きです! 猫になりたいって思いません?」
そして彼は大きな目を更に見開いて、はにかむように言う。
「ありがとうございます。でも猫の完璧な美しさにはまだまだ及びませんよ」
「猫は存在が完璧、確かレオナルド・ダ・ヴィンチが言っていましたよね」
「まさに! それだ!」
「猫はこの場所にいつもいる精霊。妖精か神かとボードレールは書きましたね。『悪の華』で…」
「『悪の華』か。ここはさながら猫の森ですね。ここに住みたいな。都会の一等地でこんな静かで猫たちの合唱しか聞こえない。咲くのは悪の華。最高しょ!」
元祖ヴィジュアル系にして、男女共に魅入られる神々しい美しさを持つ彼は、常に猫のように存在が完璧であることを目指していたからだ。櫻井敦司はきっと異空間にある猫の森に帰ったのだ。そこには彼が愛した沢山の猫たちに混じって “丸” “玉” “商” “店” もいるはずと信じている。
色々突っ込まれる 当時を知る人の証言も
反応まとめ
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