hatakeさん
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野菜の防寒・防風の方法
家庭菜園をしている中で、寒い冬が到来した頃に畑で育っている秋・冬作の野菜の防寒及び防風対策と、また、春作・初夏作の野菜の苗を早定植した場合の防寒対策も合わせて説明します。
まだまだ寒いにも拘わらず早春の頃になると、特に3月になるとホームセンターではすでにトマト、ナス等の苗が販売されているのをご存じの事と思います。最近のホームセンターでは春作及び初夏作の苗が早くから販売されています。
早春の季節に露地で植えるにも、まだまだ昼夜ともに寒く、いつ植えるべきか、どのように防寒対策をすべきかと迷われた方もおられると思います。また、早く植えて早く収獲したい方もおられると思いますが、秋から冬、そして冬から早春のこの寒い期間、そして北風も強い時期に、これらの野菜を寒さと風から保護しなければ立派な野菜が収穫できません。
種袋の裏に冷涼地・中間地・暖地と書かれていますが、冷涼地・中間地といえども野菜も寒さに長く放置すれば、野菜の寿命は短くなります。もちろん、野菜の種類によっては極寒地を除いて寒さに耐える野菜もあります。
一般的には、イチゴ、豆類のエンドウ、ソラマメ、ネギ類のニンニク、ニラ、ユリ科のタマネギ、アブラナ科の大根、カブ、アカザ科のほうれん草などは雪の降る季節でもあまり防寒の必要がありません。しかし、これらの種や苗を植えた時期は晩秋までで寒い冬の時点ではすでに幼苗から脱却していますので、問題は少ないのですが、もし幼苗のような状態で冬を越えるのであれば、それなりの防寒対策をする必要があります。
また、春作の野菜の幼苗を3月、4月に植える頃はまだまだ寒く、やはり防寒対策が必要になります。
ここでは秋作の野菜に対して冬の防寒・防風の仕方と、及び春夏作野菜を早春に植えつける場合の防寒・防風の仕方を解説します。まず最初にどの野菜でも共通の防寒方法について述べます。
防寒・防風の基本対策
家庭菜園でハウス栽培が可能な方は、文句なしに防寒・防風対策ができています。
むろんハウスと言えども真冬には暖房機などで暖房する必要がでてきます。しかし一般家庭ではハウス栽培まで行う人は少数なので、ここではハウス栽培は除外して説明します。
それで防寒及び霜害対策に必要な資材を列挙します。防寒資材としては、江戸・明治・大正までは竹笹、ヨシズ、ワラ等が用いられていました。
近代になって新し素材が開発されて、今では不織布、寒冷紗、フィルム等が用いられています。不織布やネットは潅水や液肥や薬散を覆った上からでもできて非常に便利です。フィルムは保温力が高いが、日中気温が 28〜30°C以上に高まると育ちが軟弱になり、反動で低温障害を受けやすくなりますので、フイルムの頂部か、側部に穴をあけるか、又は、日中は裾を少し巻き上げて温度を下げるようにして、夕方になれば冷えますので閉める必要があります。それでその材料とは、
①マルチ(透明、黒、緑、白黒、シルバーなど目的によって各色あります)で覆う
銀マルチ
②透明の苗帽子(頭部に穴があいています)又は行燈を被せる
透明の苗帽子
③トンネル栽培(竹、U型支柱等の骨材と寒冷紗やプラスチックフィルムの塩ビや農ポリ等の防寒資材を骨材で支えてトンネル状に被覆します)
④通気性資材の「べた掛け」資材(不織布類)、ネット(寒冷紗類)
べた掛け
通気性も良く雨、液体薬剤、液肥も浸透します。不織布は極めて軽量なので、葉上に直かけする”べたがけ”で簡単に防寒できて便利です。また不織布やネットは両端に土をかけたり、風に飛ばされないように固定用具で固定します
⑤天然の竹笹やヨシズやワラで覆う
以上の材料を単体、又は複数組み合わせて防寒・防風対策ができます。
春・初夏作の主な野菜を早春植えつけ時の防寒・防風の方法
小かぶ
かぶは15〜20℃の冷涼な気候を好む野菜です。小かぶは春蒔き(4月)と秋蒔き(9月〜10月)があります。播種から50〜60日で収穫ができます。通常は害虫被害の少ない秋蒔きが家庭菜園のビギナーには向いています。
しかし、害虫被害を抑える為に種蒔きを2月〜3月にしたい人は、(露地畑では寒さで種を直播きできる頃ではありませんが、しかし、関東南部以西の平坦地ではトンネル栽培で播種する事が可能です。通常は4月が播種時期です。)透明の農ポリでトンネル状に覆い、密閉すれば、防寒対策も十分にできますので、春取りコカブの早期播種が可能です。
4月頃には、白肌で肌触りの良いおいしい白カブが収穫でき、浅漬け、酢漬けで美味しく食べられます。トンネル栽培は防寒・防虫効果も高く、早採りにもなりますのでぜひお薦めします。
ほうれん草、ニンジン、コカブ
3月初旬にトンネル栽培をすることでコカブと同様に栽培できます。特にここで注目して欲しいのは1種類1トンネル栽培ではなく、一つのトンネルにほうれん草の列とニンジンの列とコカブの列の三列に播種することで三種類が同時に収穫でき防寒・防虫のメリットがありますのでぜひお薦めします。
トマト、ナス、メロン、ピーマン
4月頃から苗を植える事ができますが、この時期はまだまだ寒暖の差が激しいので、防寒対策には、一つは、これらの苗ひとつひとつに市販の苗帽子(頭部に穴があります)を被せたり、又は自家製で行燈形状(肥料の空き袋を利用したり、ゴミ袋を利用したりする。頭部は必ず空けて吹き抜けにする事です)のもので覆ったりして防寒対策をします。
他の事例は、農ポリによるトンネル栽培になりますが、これらの野菜は背丈が1〜2mと伸びますのでトンネル栽培は最初の初期しか使えません(メロンは地這え式も可能でトンネル栽培を続ける事ができます)ので、ナス、トマト、ピーマンは苗帽子がよいかと思います。
春ジャガイモ
春ジャガイモは1月頃からホームセンタで種芋が販売されていますが、標準値では2月半ばに定植します。そし発芽は約60日後の4月になり、その頃はまだまだ寒暖の差があり、霜も降りやすくなっています。それでジャガイモの芽が低いときはワラや枯草で対処できますが、敷きワラの高さ以上越えてきますと対応できませんので、ぜひ不織布を”べた掛け”にして防寒、霜対策をしてください。気象庁の天気予報で4℃以下になると霜注意報がだされますので秋から春はいつも天気予報を注意しましょう。
春野菜の多くは、4月中旬〜5月(標準地)に苗の定植や播種しますので、防寒対策は不要になります。ただ時々霜が降りる時がありますでのでその点は気をつける必要があります。その際には一時的に不織布を覆う方法で解決します。霜の心配がなくなれば直ちに不織布を撤去してください。さもなければ日中気温が高くなり野菜が軟弱になります。筆者は春のジャガイモ栽培の時、天気予報で霜注意報がでているにもかかわらず聞き逃してしまい、不織布を苗に覆い忘れた為に、霜でジャガイモの新芽が黒く焼けただれ、ダメになった経験をしていますのでご注意ください。
秋・冬作の主な野菜の防寒・防風の方法
白菜、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー
白菜は11月に入るとすでに収獲できる大きさに成長しています。問題は12~2月までどのような防寒対策をするかですが、その方法に2〜3あります。
一つは収獲した白菜の下葉の数枚を未収獲の白菜の頭部に覆う方法です、二つ目は、未収獲の白菜の頭部を紐で縛りつけて内部まで寒さが浸透しないようにする方法です。三つ目は、不織布を未収獲の複数の白菜全体に覆ってしまう方法で、プロの農家はこの方法を採用しています。
不織布の替わりに農ポリ(透明のビニール類)などは使わないでください。逆に寒害の被害を受けやすくなりますのでご注意してください。
秋キャベツ、ブロッコリーとカリフラワー等は白菜と準じた方法で防寒対策が可能です。
結球レタス(玉レタス)と非結球サラダ(リーフレタス)
玉レタスの防寒対策はそれほど必要ではありませんが、むしろ雨対策を十分にしないと軟腐病等に罹りやすくなりますので、農ポリを使ったトンネル式を採用されるのがベストと思います。玉の中心から雨水が入り軟腐病等に罹りやすくなります。それに対して、非結球サラダ(リーフレタス)は雨水が溜まりにくい形状ですから病気にはかかりにくく、防寒対策もそれ程必要にはならないでしょう。しかし、氷結、霜対策として不織布でべた掛けされるのもよいかと思います。
ミズナとミブナ
この野菜もそれ程防寒対策は必要ではありませんが、念の為に氷結、霜対策として不織布でべた掛けされるのもよいかと思います。
チンゲンサイ
この野菜も耐寒性があってそれ程防寒対策は必要ではありませんが、念の為に氷結、霜対策として不織布でべた掛けされるのもよいかと思います。
ほうれん草
この野菜は耐寒性が非常に強い作物です。しかしながら、生育が遅れている時は不織布を「べたがけ」して生育の促進をします。不織布は株の伸長を考慮して、ゆるめに覆います。ほうれん草は寒さにさらすと甘みも増しますので、ある程度の大きさに成長すれば不織布をはずして寒さに曝しましょう。美味しいほうれん草が収穫できます。
大根
この野菜は防寒対策の必要はありません。ただし、大根を特に好きな害虫がいますので、やはり播種後発芽してまもなく寒冷紗等でトンネル構造で覆いますので、それ自身で防寒対策になっています。トンネルをしないで育てる場合にはこの害虫駆除の為にどうしても農薬を使わざる得ない場合があります。その場合、大根の間引き菜とか、大根の葉の炒め物などに使えないので最初からトンネル栽培をお薦めします。
白カブと赤カブ
成長したカブも防寒の対策は必要はないのですが、カブは根も葉も美味しく、そのことは虫にとっても美味しいようですから、播種し発芽した頃から害虫が大挙押し寄せてきますので、カブ類は播種すると同時に最初から、寒冷紗か、防虫ネットでトンネル栽培で覆います。
トンネル栽培では無い方法では農薬を使う事になりますが、カブの間引き菜も非常に美味しいので農薬を使用すると間引き菜を食する事ができませんし、また、カブの葉も茎も非常に美味しいので虫食いだらけの穴の空いた葉では味覚も落ちますのでやはりぜひトンネル栽培をお薦めします、そのことで防寒対策にもなっています。
ニンジン、シュンギク
ニンジン;真冬の頃には根もしっかり張っていますので、防寒対策は不要ですが、根が露出しているとそこから腐ってきたりしますので、葉も覆い被せるほどの土寄せをしっかりされればよいかと思います。
シュンギク:この野菜も耐寒性があってそれ程防寒対策は必要ではありませんが、念の為に氷結、霜対策として不織布でべた掛けされるのもよいかと思います。
エンドウ、スナップエンドウ、絹鞘
エンドウの防風対策
幼苗の時は耐寒性がありますが、冬を越える時は背丈が5cm前後がよいと思います。秋の早い時期に播種すると冬を越す頃には20cmになる場合があり、このようになると越冬時に苗がダメージを受けます。
一般地と暖地では11月上旬が播種時期によいと思います。防寒対策に根元に黒マルチを敷く方法と、籾殻かワラ又は枯草を根元に敷く方法と不織布で覆う方法があります。筆者は、黒マルチか、ワラ又は枯草を根元に敷く方法で対応しています。
防寒・防風対策に、稲ワラを支柱からぶら下げてエンドウの苗の頭にくるようにされているのも見受けますが、一般家庭では切りワラでなく長いワラを入手するのが難しいと思います。別の事例では、笹竹を立てておられる方法も見受けます。
ホームセンターでワラを購入しようとすればかなり高いですから避けられた方がよいかと思います。笹竹も一般的には入手できません。
イチゴ
耐寒性に強いので、冬場の寒さにはぜひあてないと春の花芽分化ができにくいので冬場は吹きさらしで構いません。ただし2月に黒マルチを張り地温を上昇させる必要があります。
ネギ類、タマネギ、ニンニク
なにも防寒対策の必要はないでしょう。ネギは寒さにあたると糖度がまして美味しくなりますので吹きさらしで寒さにあてましょう。多少、折れ曲がったりして美観は悪くなりますが美味しいです。
雪に対する参考情報
上記では防寒・防風を主に説明していますが、それでは雪が降る時はどうすべきかという問題があります。確かに雪が降ると上空に強い寒気がやってくるのですが、実は野菜にとって雪よりも低温に当たることのほうが脅威なのです。
苗に雪が被さっても温度はそれほど低くなりませんが、0℃以下の寒風に当たると野菜の細胞を痛めるなど、甚大な被害を受けてしまう事になりますので、やはり防寒対策と、霜対策は重要になります。
まとめ
以上から、防寒対策には不織布が万能で、ベタがけもできて使い易いというメリットがあります。一方、少し高いですが寒冷紗もよいかと思います。いずれにしても、トンネル栽培を行うことにより防寒・防風対策と防虫対策や灌水や、液肥、液体農薬散布(主に病気防除目的)も簡単というメリットもあります。