hayateさん
VIEW
楽譜出版社のバンドスコアをサイト運営会社が無断で転載して賠償命令 東京高裁「労力にただ乗り」→「司法判断はまともでとてもありがたい」
バンド音楽を聞き取って制作した楽譜を模倣され、無断でウェブサイトに公開された場合、損害賠償を求められるか。この点が争われた裁判で、東京高裁が6月、「制作者の労力にフリーライド(ただ乗り)する行為だ」としてサイト運営会社に賠償を命じる判決を出した。著作権の保護が及ばないとされる楽譜制作を巡り賠償責任を認めるのは珍しく、「『ただ乗り』に歯止めをかける判断」として注目される。(徳山喜翔)
原告は、東京都内の楽譜出版社「フェアリー」。録音現場で演奏しながら作曲されるバンド音楽には完全な楽譜が存在しないことが多く、同社は日本音楽著作権協会(JASRAC)の許諾を得て、音源を聞きながら楽譜を書き起こし販売している。
フェアリー社によると、楽譜の制作にあたっては、音楽の知識や経験がある人が、様々な楽器が奏でる音の高さや音色、リズムを聞き分けて、譜面に正確に再現することが求められる。音源を繰り返し聞く必要があり、1曲の楽譜制作に2週間程度かかる。
フェアリー社から楽譜を購入する都内のサイト運営会社が、類似の楽譜を無料公開して広告料を得るサイトを開設したため、フェアリー社は2018年6月、「売り上げが激減した」として提訴し、5億円の賠償を求めた。
著作権の対象外
裁判で焦点となったのは、楽譜を模倣した場合、制作した出版社の権利や利益を侵害したと言えるかという点だ。
著作権法は「思想、感情の創作表現」を保護の対象と定めている。楽譜の制作は、音源を忠実に再現するもので創作性はなく、著作権の保護対象ではないとされる。フェアリー社は楽譜の模倣とサイトでの無断公開について「他人の権利・利益を侵害したら賠償責任を負う」とした民法の不法行為に当たると訴えた。
21年9月の1審・東京地裁判決は模倣自体を否定し、原告の請求を棄却した。フェアリー社が控訴したところ、高裁は6月19日付の判決で、楽譜の表記の一致率が90%超と極めて高いなどとして、579曲分について模倣を認定し、同社の逆転勝訴とした。
【読売新聞】 バンド音楽を聞き取って制作した楽譜を模倣され、無断でウェブサイトに公開された場合、損害賠償を求められるか。この点が争われた裁判で、東京高裁が6月、「制作者の労力にフリーライド(ただ乗り)する行為だ」としてサイト運営会社