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家庭菜園の肥料の選び…

家庭菜園の肥料の選び方

家庭菜園する時の肥料の選び方を解説します。

更新日:

家庭菜園を始めた方が、野菜にはどのような肥料を使えばよいのかを迷われる場合があります。ホームセンターに行かれても非常に多くの種類の肥料があり、どの野菜にどの肥料が最適なのかと考え込んだり、また費用の点から何種類もの肥料を購入するには高くつくのでどれとどれを買えば良いのか等と迷われた事と思います。その為には、最初にまず肥料がどのように分類されているかの知識を持って頂く事で購入の決め手になりますので、以下に解説したいと思います。

肥料には肥料取締法によってその種類、品質、規格などが定められています。これは品質の悪いものが販売されたり、有害金属など不適切な資材が混入して販売されたりするのを防ぐための法律です。注意として、肥料を生産・輸入しても全量自分で施肥する場合(自家消費)は、肥料取締制度の対象となりません。しかし、他の誰かに反復継続的に肥料を渡す(有償、無償関係なく)場合は、この法律に従う義務が生じますのでご注意下さい。さて、法律の説明は難しいので、ビギナー向けにアレンジして分類することにしました。

最初に、土壌の肥料土壌の改良の二つに区分する必要があります。前者は野菜に栄養を与える御馳走であり「肥料」と呼ばれるものです。後者は土壌を改良し野菜にとって住みやすい環境にしてあげるもので、「資材」と呼びます。そして、それぞれ有機質タイプと無機質(化学)タイプがありますので、これらを組み合わせると、

①無機質肥料(化学肥料)、②有機質肥料、③無機質資材、④有機質資材の4区分になります。それぞれの代表的なものは以下の通りです。

(1)無機質肥料(化学肥料)

天然物等(鉱物)の原料から化学的に合成して作られた肥料は「化学肥料」と呼ばれ、また、化学的に加工しないで天然物(鉱物)をそのままの原料とした肥料も同じく「無機肥料」(硝石、塩化カリ等)で、どちらも無機質肥料の範疇に入ります。無機質の名前通り、有機を含まない肥料をさします。
植物にとって必須の要素があり、窒素(N)・りん(P)・カリウム(K)は「肥料の三要素」と呼ばれています。その他にカルシウム (Ca)、マグネシウム(Mg)を含めれば「肥料の五大要素」と呼ばれ、更に、十二の追加元素として 酸素 (O)、水素 (H)、炭素 (C)、硫黄 (S)、鉄 (Fe)、マンガン (Mn)、ホウ素 (B)、亜鉛 (Zn)、ニッケル (Ni)、モリブデン (Mo)、銅 (Cu)、塩素 (Cl)、以上の十二の追加元素も含めて「必須元素」と呼ばれ、これら17の元素のうち一つでも欠けると植物は正常に生育しないか、枯死します。しかし初心者レベルでは、とりあえず五大要素をいつも気にかけておれば家庭菜園ができますのでご安心ください。残る12要素は将来、野菜の生理障害が発生した時にその原因として色々と経験されますので、当面は気に掛けなくてもよいかと思います。全ての17元素を理解できれば、もう貴方はプロ農家のレベルまで成長していることになります。

無機質肥料の特徴は、
悪臭や害虫発生、ガス発生の被害もありません。水に溶けやすい性質で、それ故に土壌流出もしやすい為に、定期的に肥料を追加しなければ野菜に栄養が補充できません。また、有機物が含まれていない為に、長期間の使用によって土壌障害の原因にもなります。

次に、主な無機質(化学)肥料の種類を列挙します。

硫安(硫酸アンモニア)、尿素、塩安(塩化アンモニア)、硝安(硝酸アンモニア)、 硝酸ソーダ(チリ硝石)、硝酸石灰(ノルウェー硝石)、石灰窒素、リン安、 過リン酸石灰(過石)、熔成リン(熔リン)、硫酸カリ(硫加)、塩化カリ(塩加)、硫酸苦土カリ、炭酸カリ、生石灰(酸化カルシウム)、消石灰(水酸化カルシウム)、苦土石灰(苦土=マグネシウムと石灰=カルシウムの混合)などが無機質肥料に該当します。個々の特徴と植物に対する効果については、紙面上の都合上、割愛しました。

尚、一般的には、N・P・Kの1種類のみの肥料を単肥と言います。2種類以上のものを複合肥料といいます。

(2)有機質肥料

天然物(植物、動物、微生物菌体)に由来する有機物で化学処理がなされていない肥料を言います。例えば、堆肥(たいひ)、油かす、米ぬか、ふすま(小麦のぬか)、骨粉、魚粉(干鰯)、鶏ふん、牛ふん、馬ふん、緑肥、有機石灰(貝殻石灰等)、燻炭、草木灰などがあります。

有機質肥料の特徴は、
完熟していない有機肥料では悪臭や分解過程で炭酸ガスや有機酸等のガスが放出され、野菜に悪影響を及ぼしたりします。また害虫(鶏糞はタネバエ等、緑肥はコガネムシ類)の卵、幼虫等が含まれてそれらが死滅しないで大量発生したりします。故にトンネル栽培を行っている時はその虫が大量に発生して困る場合があります。更に、有害な悪玉菌が発生する時もあります。しかしながら、肥料を十分に乾燥・発酵させておれば、植物への養分に分解され利用しやすくなり、善玉菌が増殖して病害が減る効果もあります。
有機質肥料は、土壌微生物によって分解されることで肥料効果(肥効)があります。その分解の程度は土壌の質、微生物の状態、温度など様々な要因の影響を受けています。それ故に肥効調整が難し材料といえます。

手頃で使い易い油かすについて話をしますと、日本で販売されている油かすの原料は主に菜種(なたね)から油を採った粕(かす)が多く販売されています。菜種油粕(なたね・あぶらかす)の肥料の成分はおよそ窒素5%、リン酸2%、カリ1%を含有しており、良質な肥料として使用されています。
勿論、油かすとして、他に綿の種から油を採った綿実粕(めんじつかす)、大豆の実から油を採った大豆粕(豆粕)などもあります。
筆者のお薦めは価格が少し高いのですが、完全醗酵・乾燥させた有機質肥料を使われる事をお薦めします。例えば、乾燥ペレット鶏糞、乾燥粒状油かす、醗酵油かすです。理由は、これらは、ガスがでない、悪臭がない。病原菌類が激減している(悪玉菌も善玉菌も大部分死滅していますが・・・意外にも善玉菌の枯草菌は死滅していません)等のメリットがあり、それ故に、畑の畝に施肥後のすぐに種の播種や苗の定植が可能だからです。通常の安い鶏糞(半発酵が多い)や、油かすは土壌混和の施肥後、2週間(春~初夏で2週間、秋〜冬は1ヶ月)は経過してから、播種又は定植をする必要があります。油かすは分解する経過でガス等も発生する為に、施用直後に種を播種すると発芽阻害が現れます。特にナタネ油かすは強く現れますので、直播き栽培する場合には2週間以上経過してから播種する必要があります。

(3)無機質資材

天然または合成された無機質の資材をいいます。例えば、ゼオライト(沸石:火山岩が凝固してできた鉱物。又は石炭灰)、バーライト(ガラス質の火山岩を高温加熱し急激に蒸発させたもので、真珠岩、黒曜石など気泡のある軽い石です)等があります。

(4)有機質資材

土壌の微生物の働きを活発にし、作物生育環境をよいものにするもので、例えば、堆きゅう肥(家畜糞)、ピートモス(乾燥苔類で、混入すると強い酸性土になるので注意)、稲わら、バーク(樹皮原料の木屑ですが、キノコの菌糸やコガネムシ類の卵などが時々含まれているので注意)、腐葉土(落ち葉)などがあります。

(5)肥料に関する注意事項

肥料は、普通単体で用いられることは少なく、いくつかの肥料と組み合わせて、あるいは混合(配合)して用いられます。しかし、肥料の種類によっては混ぜてはいけない組合せがあります。混ぜ合わせる事でアンモニアの揮発によって成分が消失したり、効果がなくなったり、また危険が伴うものもありますので注意が必要です。筆者の経験の範囲では、通常市販されている肥料をどんな組合せで配合しても爆発などしませんでした。これについては機会があれば執筆したいと思いますが今回は紙面の都合上で割愛します。昔から、一部の肥料は爆弾、火薬の製造の材料に使用できると言われていますし、実際、ある特定の単肥を大量に購入する際には身元確認が必要になります。

まとめ

筆者がお薦め肥料は
1.(無機質複合肥料)化成肥料:NPKオール8か、又はNPKオール16
2.(無機質複合肥料)苦土石灰(苦土=マグネシウムと石灰=カルシウムの混合)PH調整と肥料兼用
3,(有機質肥料)乾燥ペレット鶏糞、又は、完熟醗酵・乾燥牛糞
4,(有機質肥料)乾燥・粒状油かす、骨粉
5,(有機質資材)腐葉土
6.(無機質単肥)リン・カリ、ヨウリン

以上の6種類で、これらを組み合わせて使用すれば、家庭菜園を十分楽しみながら野菜を育て上げる事ができます。
将来、家庭菜園に慣れてくれば、野菜の生理障害が多々発生しますので、それを良く研究されて、育てている野菜に17の元素のいずれが必要なのか判断されて、それらを含む有機物又は無機物の肥料を施肥すればよいかと思います。尚、NPKの野菜に対する効果は、おおざっぱに、N(窒素)は葉、P(リン)は果実、K(カリ)は根に大きな成長の影響を与えると覚えておけば事足りますので、アブラナ科のような葉菜類にはN(窒素)を、ウリ科ナス科のような果菜類にはP(リン)を、ニンジン、大根のような根菜類にはK(カリ)を重視する事で、そのようなおおざっぱな考えで家庭菜園を楽しく行う事ができます。

正直なところ、気候などの環境変化や、病害虫の発生状況や、野菜への思いやり、手間暇の作業のかけ方などいろんな要素が野菜に影響しますので、なかなか判断がむづかしいと思います。しかし、収穫率など気にしなければ、野菜ガイドブックを参考にされた施肥方法でも十分に育ち、収獲が得られますのでご安心ください。自然を見て頂くと、山々の木々や草花、雑草等は人間が人為的に何も与えなくても毎年すくすく育っています。だからと言えども野菜はほったらかしで良いかと言えば、野菜は雑草よりもデリケートなので、愛情を持って家庭菜園に望む必要があります。施肥の質・量・方法、タイミングによって、また病害虫の影響等も含めて収穫率アップにつながっていきます。家庭菜園は奥の深い実益も兼ね備えた趣味の世界と言えるでしょう。

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